第9回寺子屋「主催者」OHGUSHIより/アナログで制作される方へ(裏打ち、水張りについて)
OHGUSHIより、アナログで制作される方へ
■アナログ作品のデータ化について
アナログの方に多かったのですが、WEBやSNSでのデーター化した作品を見ると、
水彩用紙の緩やかなシワの陰影が影響し、原画の美しさと大きな落差が出てしまっている方が多いように感じました。
仕事でデーター化する前提とするならば、スキャナでデーターを取ることは必須となります。
しかし、既に薄い水彩紙に描いた作品の場合、スキャン時に思った以上の紙のシワの陰影が出てしまいます。
解決策として「水張り」「裏打ち」という作業でシワを完全に取り除くことができます。
その方法を下記にまとめました。
■水張り、裏打ちについて
僕は水張り、裏打ちしてスキャンする機会が多いので、その一例を紹介します。
*水張り、裏打ち可能な作品の条件
アクリル画、墨絵、鉛筆画、パステル画に限ります。
水彩絵の具の場合は滲むのでお勧めできませんが、一度、お使いの画材で描いたテスト用作品にスプレーフィキサチフ・ストロング(https://amzn.to/2rFCq2W)を塗布して、以下の作業を試してみてください。
■「水張り」のやり方
*準備するもの
作品原画、原画のサイズより大きな木製シナベニヤパネル(https://bit.ly/2L6ScLj)、
マルオカ あくとるミューズテープ(https://amzn.to/2Y0ikN2)、デンプンのり(https://bit.ly/37VbiOr)
*水張り作業の順序
1、木製パネルを準備します。木製パネルには安価なベニヤパネルと、シナベニヤ素材のものがあります。安価なベニヤはアク・シミにより作品が黄ばみます。ここではシナベニヤ素材パネルで行なってください。
2、和紙やコピー用の普通紙並みに薄い紙の方は、さらに黄ばみ防止に「マルオカ あくとる」を塗って一日乾燥させます。それより厚い画用紙の方は2の作業は必要ありません。
3、水彩用紙の絵を裏面にして、霧吹きで水を吹きかけ、刷毛で水を伸ばし、パネルに絵を表面にして乗せて、シワなく刷毛で伸ばしたらら3~5分ほど置きます。
4、ミューズテープで水彩用紙の外枠4辺とパネル板を貼り付けます。
5、1日置くとシワが伸びたまま乾燥します。そのあとにカッターでミューズテープをカットし、パネルから切り離します。
6、スキャン作業
(2で作った木製パネルは何度でも使用できます。)
*周りにミューズテープを貼る余白が無い作品の場合は「裏打ち」
7、上記2のパネルに原画より一回り大きな白い画用紙をホッチキスで水張りします。(ちなみに、僕はホッチキス派で、ミューズテープのみでの水張りができません)
以下の図ように、パネル平面に貼るか、パネル側面に折り曲げてホッチキスで貼るか、やりやすい方で行なってください。
8、原画に上記3の作業をします。
9、7の水張りした画用紙パネル(乾いてない状態)に、水で薄めたデンプンのりを刷毛等で塗布します。
10、9のパネルに作品を貼り付けます。1日置くとシワが伸びたまま乾燥します。
11、乾燥後、作品4辺周りの水張り画用紙部分をカッターでカット、パネルから切り離し、その後スキャン作業。
■スキャン解像度について
*クライアントワーク時のスキャン解像度
あらかじめクライアントに展開される大きさを聞いてから、そのサイズで350dpiになるようにスキャンしてデーター納品すると良いでしょう。
*オリジナル作品のスキャン解像度
今は仕事に使われなくても将来、思いがけずに大きな展開に使用されることが稀にあります。そこに対応するため、あらかじめ大きめのデーターを取っておくことをお勧めします。
基本的にB1サイズで350dpiあればどんな印刷物にも対応できると言われています。
例えばA4の原画をスキャンする場合は1200dpiで取り込めば、そのレベルのデーターとなります。
僕の場合はこの解像度でスキャンしていますが、ご自身のPCでデーター管理できる許容量に合わせてスキャン時のdpiの数値を調整してください。
ちなみに、今は外付けHDDも安価なので、データー管理は安易になっているように思います。
■今後の対策
今まで薄い水彩紙で描いていた人はイラストボードに描くようにするか、こだわっている水彩紙がある人は、あらかじめ木製パネルに上記7のようにパネル張りして描くように習慣づけましょう。
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*画像参照元
いまさら聞けない「水張り」って何!?/マリモネコ
https://cs.mangania.jp/archives/3907
(転用に問題がある場合は掲載画像を削除対応します)
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