第11回寺子屋「講師陣」熊野森人さんの感想です。
熊野賞
一二三かおりさん
電車のホームの作品がずば抜けて好きです。一二三さんを選んだ理由は技法云々はもとより、視点にあります。日常の気にしなければひっかからない感情や風景を切り取って、それを画にできる素晴らしい才能をお持ちだと感じました。優秀な写真家の方にも同じことは言えますが、イラストレーターである一二三さんは写真家にはできない、風景をモディファイしてフォーカスポイントを自在に操れるということができます。白川さんが、猫の作品への質問で「これって魚眼レンズっぽく空間が歪んでますがわざとですか?」「いいえ、写真とったままです」というやりとりがありましたが、これって、意識的にやると、もっと面白い作品になるように思います。最後に、勝手にナンシー関さんの作風(タレントな魅せ方も含めて)と重ねてお話しましたが、思ったまま、感じたままのコラムと共にあるイラストも拝見してみたいです。
他に気になった受講者へのコメント
タワタリナツキさんのGrand Budapest Hotelの画も好きでした。ノイズ感、色味が独特のテクスチャーとして機能して、オリジナリティーを高めていると感じました。グレイッシュなペールトーンのパレットが素敵なので、逆にこの世界観に合う仕事を見つけられたら最高だと思いました。
全体的な個人的見解や感想
今回も、みなさんとてもレベルの高いイラストレーションばかりで、とても刺激を受けました。悩みって、ひとそれぞれで、例え統計的なプロセスを経た合理的、効率的な解決の雛形を提供されたとて「そういうことじゃないんだよなー」ってじぶんなら思ってしまいます。そういうとき同じ志でよく似た環境にいるじぶん以外の人の存在がいてくれるだけで、心の栄養になると思います。寺子屋は、いつまでも孤独な自問自答で戦っているアーティストの溜まり場であるといいなぁと、改めて感じました。
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